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建築工学専攻 博士前期課程1年 森口 馨 「一人旅で広がる」

建築工学コース4年 安達 遼太郎 「進路について」

注:本文章は、建築工学科目と社会基盤工学科目の合同OB・OG会組織「構築会」の会誌のための記事を転載したものです。

  私にとって,大学生活を彩ったものは一人旅でした。部活にもサークルにも所属しなかった私は一人で外の世界に出かけることが視野を広げる手段でした。
  大学生になって金銭及び時間的に余裕ができた私は,1回生の夏休みに東京に行こうと思いました。それが最初の第一歩でした。東京を歩くのは初めてであり,上野動物園やスカイツリー,東京都庁に訪れました。行程は全て私の自由。想いのままに動ける一人旅は私にとって大変刺激的でした。
  それから私は,課題が終わった時や長期休暇にはいろいろな場所に足を運びました。徹夜しないと終わらない製図課題も一人旅に行くことをモチベーションにして何度も乗り越えてきました。富士山の山頂から望む朝焼け,函館山から見る天の川のような夜景,美しい瀬戸内海に囲まれた豊島にある美術館…。その多くが忘れられない体験であり,知っている世界が広がることは痛快でした。
  今まで目を向けなかったものに興味が湧くきっかけにもなりました。主な移動手段だった鉄道にハマり,今では旅の主要な楽しみです。旅先でいい写真を撮りたいと思い,インスタグラムで魅力的な写真の撮り方を学びました。また,旅先にある寺社のお賽銭箱に小銭を投げ入れるうちに寺社仏閣に関心を持ち,御朱印帳を持ち歩くようになりました。それらは私の一人旅をより一層面白くする要素になりました。
  私が研究室に配属された4回生の1年間はその多くが緊急事態宣言下であり,殆ど旅行に行けませんでした。それでも,研究活動の息抜きとして近場ではありますが行きたかった場所を歩くことができました。こういうご時世だからこそ,旅に行ったことは貴重な会話の種であり,誰かが旅に出るきっかけであってほしいと願っています。その暁には旅の思い出を友人たちと交換できればと思います。
  私が入学時に抱いていた建築を学ぶ上での目標が「地震に強い建物を作りたい」という漠然としたものでした。幾度の一人旅で琴線に触れる建築に訪れてきた体験が「大きな地震に見舞われても耐え抜き,長い歴史において多くの人々の心に刻まれるような建築物を遺したい」とより詳細なものに昇華されました。これが今の私の夢であり,原動力です。
  この度は先輩方からのバトンを託される様な形で執筆の機会を頂けたことを心より光栄に思っています。拙い文章だったと思いますが,最後までお付き合いいただき誠にありがとうございました。
 

 はじめに、この度は執筆の機会を頂きありがとうございます。私は学部4年生の安達です。大学生活も早いもので4年目に入り、卒業まで残り半年ほどになりました。私は来年度から社会人になります。建築コースの学生達の多くは大学院へ進学するため、私のような進路を選ぶ方はかなり少数派だと思います。そこで、今回は私が就職を選んだ経緯について書かせて頂きます。
 元々私は大学院へ進学するつもりでした。進学したい理由は特にありませんでしたが、「皆が大学院に行くから」私も行くだろうとぼんやり考えていたのです。そんな頃、成人式で地元に戻り小、中、高校の同級生達と話す機会がありました。既に家庭を持ち、働いている友人も多く、彼らは今後の人生について真剣に考えている様子でした。そこで私は自身の将来設計を疎かにしていることに気づき、今後の進路を見つめ直しました。そこで初めて、就職という選択肢が浮かび上がったのです。
 しかし、それまで進路についてほとんど考えてこなかったため、何をすれば良いのか分からない状態でした。そんな状態のまま2年生も終わる頃、講義の中で当時の3年生を対象にした建設現場の見学会がある事を知り、何か行動しないといけないと感じていた私は担当の先生に頼んで特別に参加させて頂きました。商業ビル建設の現場でしたが、当時の私は現場に関する知識が全く無く、正直何をしているのかよく分かりませんでした。しかしながら実際に建物を作り上げ、見届けることのできる仕事に魅力を感じました。そこからは現場系のインターンや様々な現場見学会に参加し、気づけば就職活動を始めていました。そして私は学部卒業後に就職することに決めたのです。
 こうしてまとめてみるとかなり行き当たりばったりで決まっている気もしますが、それでも良かったと思っています。劇的な出来事や決断はありませんでしたが、積極的に自らの進路を考え設計し、行動した経験は確かに私の糧になったと実感しています。
 来年度から社会人になるのは少し不安ですが、自分で決めた進路に胸を張れるよう、精一杯頑張りたいと思います。拙い文章ではありましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。