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建築工学専攻 博士後期課程2年 李 ロウン 「留学という選択とこれからの私」

建築工学コース2年 越智 悠 「建築と大学生活の両立」

注:本文章は、建築工学科目と社会基盤工学科目の合同OB・OG会組織「構築会」の会誌のための記事を転載したものです。

  
 2012年4月来日してからあっという間に時間が経ち、もうすぐで4年になります。初めて研究室を訪問した時がまるで数日前のようですが、もう私は博士2年目になっています。長いと思った博士課程ももう半分が過ぎ、忙しい日々が続いて時間は本当に早いものだと実感しているところです。

 初めて留学を決める時も、留学先を日本にする時も、修士課程を終えて博士課程への進学を決める時も多い選択肢がありましたが、その一つ一つの選択の結果で今の私がいると思います。その中では研究室の先生を始め、先輩、後輩たちの支えが大きく影響を及ぼしたと思っており、心から感謝しています。日本での留学生活は良い思い出ばかりではなく、辛いことももちろんありましたが、内的に大きく成長する肥になったのではないかと思います。

 留学一年目を振り返ってみると、日本人学生や他の留学生たちとの交流にも積極的に参加し、他専攻とのワークショップやイベントの企画など、専攻だけではなく、できるだけ多様な経験を積もうと頑張りました。しかし、いつの間にか留学生活に慣れるとともに博士課程への進学で忙しいという言い訳などで、「井中の蛙」のようになっていたのではないかと反省します。そうしていたところ、日本企業の財団の奨学生になり、数回の交流会に参加させて頂いたことで、またその井戸から少し出られるようになったと思います。様々な分野の優秀な留学生及び卒業生たちが将来の夢に向けて努力している姿は、「私ももっと頑張らないと!」と刺激にもなり、モティベーションを与えました。

 まだまだ留学生活は残っておりますが、限りある留学期間に以前から受けた刺激と内的成長を忘れずに、自分の専門分野についてもっと深い知識を身に付け、次の目標に近づけることが出来るようにしたいと思っています。これからもまだまだ選択することは多いと思いますが、日本留学を決めたときの初心を忘れずに、将来には少しでも社会貢献ができるように志を掲げて、日本への留学が良い選択だったと、最後に笑える結果の私がいるように頑張ります。

 建築工学コース2回生の越智悠です。この度この様な文章を書く機会をいただけて、とてもありがたく思います。

 まず、はじめに、僕が大阪大学に入学するまでの話を少しさせていただきたいと思います。 僕は小学校1年の頃からずっとサッカーをしていて、中学校、高校と公立高校に通いその学校のサッカー部に所属していました。高校受験の時、周りが部活を引退し勉強に専念していく一方で、僕は勉強をもちろんしていましたが、サッカーの練習も続けていました。それでも無事に志望校に合格することができました。大学受験の時も、他の部活の高3生は高校総体を終え6月、7月で部活を引退しましたが、サッカー部の僕を含め数名は全国高校サッカー選手権という大会をゴールとしてサッカーを続けました。夏休みも毎日のように部活があり、受験勉強に専念できるようになったのは10月からでした。絶対的な勉強量では他の受験生に劣っていましたが、その両立が結果的に阪大合格の糧になったと自分では思っています。

 そうして、大阪大学に合格した僕の入学前の頭の中には、やりたい事が沢山あり夢に溢れていました。建築を学びたい、部活を頑張りたい、留学に行きたい、本をたくさん読みたい、バイトもしたい。大小様々な目標がありました。1回生の頃、入学してすぐに同じ学科内に新しい友達ができました。月日が経つごとに友達も増えていきました。部活に入ったのでそこでも良い仲間に出会いました。学科でも部活でも出会った友達は今まで出会った事のないような人が多く、新鮮で、きっと多くの影響を知らずに受けていたと思います。彼らと一緒にいるのが楽しくてよく遊びにも行きました。

 一年が過ぎ、勉強もそこそこに頑張って何とか建築コースに入ることができました。建築コースの学生として2回生を迎えるにあたって僕はとても意気込んでいました。しかし楽しいことはもちろんですが、楽なことばかりではありませんでした。1回生の時とは比べものにならないような質と量の設計の課題。建築をこれから学んでいき、建築でこれから生きて行く事のしんどさを少しだけ感じられた気がしました。それから部活、バイト、建築、これらの両立に余裕がもなくなり、追いかけていたはずの大学生活に追われることに慣れていき、頭の中にあった目標ややりたい事が、いつしかどこかへ行ってしまい、やらなければいけないことでいっぱいになっていました。
それでも何とかその両立に耐え1学期を終えました。夏休みはその反動もあってか沢山遊びました。部活の仲間、中高の友達、学科の友達、建築の友達。それはそれでとても充実していたと思います。 そんなある日、夏休みももう終わりに差し掛かり、2学期が始まる前でした。 「1回生の頃は勉強そこそこに遊んでばかりで、2回生になっても建築の勉強には追われて、夏休みは遊び呆けて、入学する前に持っていた夢や目標はどこに行ったんや。そんな大学生活ならわざわざ必死こいて勉強して阪大入らんでもよかったやん。その辺の大学生と一緒やで。」 と母に言われました。まったくその通りだと思いました。掲げていた目標には現実的に実現不可能なものもありますが、自分次第でもっと出来ることがあるのも事実でした。考えさせられました。

 自分の周りにいる阪大生に、僕の母のように学生生活を考えている人は、おそらくいないと思います。阪大には色んな学生がいて、もちろんとても高い志、目標を持って日々を充実させている素晴らしい学生も多くいると思います。僕はそういう学生になろうと思っていましたが、気が付けば置いてかれていました。

 自分の志がなくなったことを周囲のせいにするのは間違っているし、友達と上手くやりながら目標を達成することもできたと思います。ただ僕のように周りに影響され本来の自分を見失った人が、阪大には多くいるんじゃないかと思っています。そんな阪大生の輪が広がって行っていて、せっかく培った学力を宝の持ち腐れにしているのが、阪大生の、まさに自分の現状だと思います。

 今僕にできることは、まずは自分の目の前にある建築の勉強、サッカーを精一杯やることです。そこにはもちろん高い志がなければ、将来の自分への投資にはなりません。建築の勉強は理系の中でもしんどいとよく聞きますが、自分が選んだ以上しっかり両立していきたいと思います。そしてその頑張りを通して少しでも阪大生のもったいない現状を変える小さな歯車になるくらい頑張りたいです。

 つたない文章で私的なものになってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。