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建築工学専攻 博士後期課程2年 山下 靖彦 「学ぶということは。。。」

建築工学コース2年 清川 忠和 「コロナでの大学生活」

注:本文章は、建築工学科目と社会基盤工学科目の合同OB・OG会組織「構築会」の会誌のための記事を転載したものです。

 はじめに構築会の諸先輩方および全ての大阪大学関係者の皆様に、このような執筆の機会を与えていただき、深く御礼申しあげます。私は50歳の社会人ドクターです。仕事は建築の構造設計者ですが、入学から1年半経た今も研究活動に慣れず、悪戦苦闘の毎日を過ごしています。私は関東の大学を卒業後、年齢の半分を社会人として過ごしました。その社会人になった年に阪神大震災を神戸市東灘区で経験しています。社会人でありながら学生であるという私の今の立場を考えた際、震災の経験を持たない若い皆さんとともに「学ぶという意味」を考えるきっかけになればと思い、おたよりを書きました。
 今年は阪神大震災から25年です。私は地震発生時、高速道路が倒壊した場所の近くに住んでいました。その日はとても寒く、地震後街中は本当に静かでした。夕方に自衛隊が来てくださるまで、建物の下敷きになった人々を、素手で掘り出すしか出来なかったことなど、自分の無力感を今でも忘れられません。建物は法律の基準に基づいて設計されます。しかし基準以上の大地震が来れば建物は壊れる可能性があります。神戸復興が示すとおり街は作り直せるかもしれませんが、失われた命は戻ってきません。震災当日、生き抜くため・救助のために、生まれて初めての判断を沢山しました。もっと学んでいれば、多くの手助けができたのではないかと今も悔やみます。皆さまとぜひ共有したいことは、災害時には知恵を絞り「生き抜くこと」が最も大切だということです。
 生きたくても生きることが出来なかった命から、決して目を背けるべきではないと思っています。私は社会人として出発したその年に震災を経験し、構造設計という仕事の重要性を恥ずかしながら、その時初めて痛感しました。そして学びの大切さを思い知らされた気がします。その体験が現在大学でお世話になっていることと決して無関係ではないかも知れません。近年、東日本大震災やコロナウイルスなど、想像を絶する経験や脅威にさらされることの連続です。しかし関西在住の震災経験者である私や関西圏にある研究者・構造技術者は、特に阪神大震災の教訓を風化させないために訴え続ける必要があり、自分の研究の際にも深く念頭に置かなければと思っています。拙い文章を最後までお読みいただき大変ありがとうございました。皆様のご多幸をお祈り申し上げます。
 

 この半年、世間の大学生は新型コロナウィルスの影響を大きく受け、今まで当たり前であった大学生活というのは大きく変わってしまったのではないでしょうか。
 かくいう私も大学生活を始めて1年半が経ちますが、私たちの大学生活は去年の1年間とここ半年では全く異なるものになってしまいました。学校に行くことすらできず、友人と会話はめっきりなくなってしまい、一人でパソコンに向かい続ける日々が続きました。田舎にある実家に帰るタイミングを逃し、下宿生活を送っていた自分にとっては正直精神的にたいへんきついものでした。
 しかしながら、そういった状況の中で受けるオンライン授業では懇切丁寧な資料や解説をしてくださったり、メールでの質問や設計課題のアドバイスにもとても熱心に答えてくださったり、テスト前にはzoomでの質問会が開かれたりと、様々なことが制限された中でも私たちの学びの機会が失われないようにたくさんの先生方がそれぞれ工夫してくださったことにはとても感謝しています。
 さらには、オンラインのみで春夏学期が終わってしまうのだろうと半ばあきらめていた矢先、最後の授業で大学での対面授業を行うとの連絡が来ました。学校に行って友人たちに会った時にはとてもうれしかったことをありありと覚えています。
 秋学期が始まった現在でもオンラインがメインの学部学科もある中で、建築工学科目の講義は全面的に対面で行われています。前期の設計課題においては、例年であれば製図室で友人と一緒にいろいろな意見を出し合ったり一緒に作業していたそうですが、一人っきりで誰とも話さずに行う作業はとてもつらいものであっただけに、友人たちを面と向かって課題について話し合ったりできることに喜びを感じています。
 こういったことが、多くの建築工学科目の先生方のご尽力によって行われていると思うと本当に感謝の気持ちしかありません。学校で友人たちと一緒に学ぶ、直接先生に質問できる、面と向かってディスカッションできる。決して当たり前ではないということをこの期間を通じて痛感しました。大学で生き生きと学べることに喜びと感謝を忘れずにこれからの貴重な大学生活を大切に送っていけるように、日々目の前のことに一生懸命に取り組んでいければと思います。
 最後になりますが、今回執筆の機会をいただきうれしく思います。今後とも精進していきます。