【優秀作品】

鶴井 麻美:てんてん

軸丸 久司:PURIFICATION

真鍋 翼:What is Art?

【Concept】
 計画地は、千里ニュータウンの計画除外地上新田地区の一角とする。ここで、計画されたまちであるニュータウンと旧集落である上新田、新しいものと古いもの、騒ぐものと静かなものという二つ異なるものの接点として、旧集落のアィデンティティの喪失、高齢化・建て替え・人口減少等の問題をとりあげる。ファミリータイプを想定されたニュータウンからはみ出した人が住む・くつろぐと場所を求め、上新田の記憶を伝えるもので空間を再構築する。それで、ニュータウン住民も上新田住民も、お年寄りも若者も一緒に住み、自ら再認識することによって、これからの上新田を支えるという意識を高めるようになるであろう。

【講評】
 千里ニュータウン地区センターと上新田旧集落の境界に位置する敷地に、単身者や夫婦世帯のための住居、育児支援施設などを整備し、上新田地区を含めたニュータウン地域全体の居住の多様性を生み出そうとする提案である。地域のコンテキストの深い読み取り、コミュニティ形成を意識した多様な住戸による空間計画、旧集落に配慮した傾斜屋根の折り重なり、立体街路の移動から体験される景観の変化など、密度の高い取り組みが評価され、当教室から日本建築学会支部共通事業「全国大学・高専卒業設計展示会」への出展作品に選定された。旧集落の伝統的なしくみを将来に伝えるべく、土間や続き間座敷、段々畑、棚田など様々な環境エレメントが持ち込まれているが、社会・地形・水系などのシステムから切り離されたこれらの要素が、今回の計画でどのような意味を持ち得るのかについての考察が必要であった。また、当敷地の位置づけの重要性を考えれば、低容積による単身者向けを中心とした集合住宅の計画は、社会的な役割や経済性の面からも現実性に欠ける面があった。

【Concept】
 道頓堀、そこは水の都大阪の名残を残す場所の一つである。道頓堀は様々なものを生み出してきた。文化・産業・くらしなど人にとってなくてはならないものを生み出してきた。しかし、そういったものの裏側に隠れて望まれないものも道頓堀は生み出してきた。水質汚染・ストレス…。この水族館のシステムはこれら望まれない産物を減らすために創られている。水族館の構成は至ってシンプルである。架構(メガストラクチャー)とそれに吊された水槽と通路。しかしそれらは有機的にリンクしている。そのリンクの中にPURIFICATION(浄化)が生まれる。



【近代建築別冊 卒業制作2004掲載】