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蓄熱式空調システムの性能評価に関する研究
■背景
夜間の安価な電力を用い,蓄熱槽に蓄えた熱エネルギーを昼間の 冷暖房負荷の処理に利用する蓄熱式空調式システムは設置数が増加しており、近年では,蓄熱性能の評価に関心が持たれている。 蓄熱式空調システムを利用することにより,電力需要の平準化に貢献できる。その他にも熱源機の容量が縮小でき、イニシャルコスト削減につながる、 熱源が高効率で運転できるなどのメリットがある。しかし,いくら最適な設計がなされていたとしても,適切な運転が行われていなければ 意味がない。蓄熱式空調システムのメリットが活かされるには最適な運転手法の開発が必要である。
■研究目的
 熱源流量を把握し、水蓄熱式空調システムの運転状況の評価を目的としている。
水蓄熱式空調システムの運転評価には、温度、流量、熱量の測定が必要となるが、小規模なビルではコストなどの問題で、流量計が設置されていない場合が多い。 このような場合に、比較的測定が容易な一次側・二次側出入口温度、蓄熱槽内温度データを用いて流量を推定し、熱源の出入り口温度差と水の比熱を用いて、 熱源が処理した熱量を算出し運転状況の把握を行う。
■連結完全混合槽型蓄熱槽とは概念図
 本研究で対象としている蓄熱槽のタイプは連結完全混合型蓄熱槽と呼ばれており、 従来から数多く設置されてきた水蓄熱槽のタイプである。このタイプの蓄熱槽は、ひとつひとつの蓄熱槽内の水は完全に混合させるが、 蓄熱槽相互を直列に数多く繋げることにより蓄熱槽全体として水の混合を抑制することを狙いとしている。地下二重スラブ内空間を 蓄熱槽として利用する蓄熱槽はほとんどこの型の蓄熱槽である(右図参照)。この蓄熱槽は、槽交互を単純な連通管で結ばれているだけ で単純な構造であるといえる。しかしこれらの連通管の配置の如何により、槽内に蓄放熱に関与しない死水域が発生するなど、 改善しなければならない問題点もある。
■発表論文
No. タイトル 著者・発表者 掲載 年月
国内学会発表・国内シンポジウム
01
分割槽内熱収支の理論解を用いた蓄熱式空調システムの流量推定法に関する研究(その1)一次側が三方弁による熱源出口温度制御されているシステムにおける検討
松村一誠,相良和伸,山中俊夫,甲谷寿史,竹島健一朗,一瀬茂弘
空気調和・衛生工学会近畿支部学術研究発表会論文集, pp.53-56
2006.3
02
分割槽内熱収支の理論解を用いた蓄熱式空調システムの流量推定法に関する研究(その2)システムの遠隔監視データを用いた流量推定の試行
竹島健一朗,相良和伸,山中俊夫,甲谷寿史,松村一誠,一瀬茂弘
空気調和・衛生工学会近畿支部学術研究発表会論文集, pp.57-60
2006.3
03
入口三方弁熱源出口温度制御の蓄熱式空調システムの流量推定法に関する研究
竹島健一郎,相良和伸,山中俊夫,甲谷寿史,一瀬茂弘,松村一誠
日本建築学会近畿支部研究報告集 第46号 環境系, pp.169-172
2006.6
04
分割槽内熱収支式の理論解と制御特性を用いた蓄熱式空調システムの流量推定法に関する研究(その2)蓄熱槽内の温度測定点数が流量推定精度に与える影響の検討
竹島健一朗,相良和伸,山中俊夫,甲谷寿史,一瀬茂弘
空気調和・衛生工学会学術講演会講演論文集, pp.195-198
2006.9

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