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においの主観評価における入室法と臭袋法の
差異に関する研究
■はじめに臭袋法
 私たちの生活空間には様々なにおいが存在することから、
それらのにおいに対する心理反応を定量的に把握することが
必要となる。その方法として日本では右図に示すような臭袋
法が広く用いられ、悪臭防止法や日本建築学会環境規準
にも採用されている。しかし、臭袋法での評価は右のような
点が原因となり、実空間に最も近い形で評価を行うとされる
入室法での評価と異なることが予想される。
 そこで本研究では、生活空間に存在する建材臭について、
入室法と臭袋法の違いがにおいの主観評価に与える影響の
把握を目的としている。
■入室法での実験
 実験に先立ち、下図のような実験室(無臭室)を作成した。試料には、木材臭の主成分であるα-ピネンを
用い、室中央で一定量完全拡散させた。臭袋法用の臭気は無臭室から捕集し、臭袋法は入室法 での実験後に前室にて行った。実験条件及び評価項目を以下に示す。
図面・実験条件・評価項目
■これまでの成果結果
 実験結果を右図に示す。
1.両方法で濃度が高くなるにつれて、
 臭気強度が高く、不快側になる傾向
 がある。
2.同じ濃度では、臭袋法は入室法より
 臭気強度は低く、快側に評価される。
 
 今後は入室法における濃度の設定と
測定の精度を向上させ、より広範囲の
濃度条件について実験を行うとともに、
他の臭気についても実験を行う予定である。
■発表論文
No. タイトル 著者・発表者 掲載 年月
国内学会発表・国内シンポジウム
09
においの主観評価実験における入室法と臭袋法との比較検討
前田洋子,相良和伸,山中俊夫,甲谷寿史
日本建築学会大会学術講演梗概集 D-2, pp.839-840
2006.9
08
においの主観評価実験における入室法と臭袋法との差異
前田洋子,相良和伸,山中俊夫,甲谷寿史
日本建築学会近畿支部研究報告集 第46号 環境系, pp.221-224
2006.6
07
においの主観評価における入室法と臭袋法との比較
前田洋子,相良和伸,山中俊夫,甲谷寿史
空気調和・衛生工学会近畿支部学術研究発表会論文集, pp.191-194
2006.3
06
試料名告知の真偽がにおいの主観評価に及ぼす影響
藤原美紗子,相良和伸,山中俊夫,甲谷寿史
空気調和・衛生工学会近畿支部学術研究発表会論文集, pp.37-40
2005.3
05
試料名告知の有無がにおいの心理評価に及ぼす影響
藤原美紗子,相良和伸,山中俊夫,甲谷寿史,光田恵
日本建築学会大会学術講演梗概集 D-1, pp.931-932
2004.8
04
試料名告知の有無及び性差が建築材料から発生するにおいの心理評価に及ぼす影響
藤原美紗子,相良和伸,山中俊夫,甲谷寿史,光田 恵
日本建築学会近畿支部研究報告集 第44号 環境系, pp.197-200
2004.6
03
におい袋法における試料名告知の有無が主観評価結果に及ぼす影響
竹村明久,相良和伸,山中俊夫,甲谷寿史,光田 恵,藤原美紗子
空気調和・衛生工学会近畿支部学術研究発表会論文集, pp.97-100
2004.3
02
温湿度条件が嗅覚閾値及びにおいの主観評価に及ぼす影響(その2)αーピネン、トルエン、メチルメルカプタンに関する検討
竹村明久,山中俊夫,甲谷寿史,光田 恵
日本建築学会大会学術講演梗概集 D-1, pp.791-792
2003.9
01
温湿度条件が嗅覚閾値及びにおいの主観評価に及ぼす影響(その1)濃度とにおい評価との関係による検討
竹村明久,山中俊夫,甲谷寿史,光田恵
日本建築学会近畿支部研究報告集 第43号 環境系, pp.153-156
2003.6

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