生活環境における「におい」に関する意識調査

■研究の目的

 我々の生活環境は光、音、熱など様々な要素により構成されており、我々はその環境を五感を通じて把握している。都市規模の生活環境については、視覚的観点からは「ランドスケープ」、聴覚的観点からは「サウンドスケープ」という概念を用いて把握されているが、嗅覚的観点からの把握については、評価概念が確立されていない)。しかし我々の生活する場には無数のにおいが存在し、においが我々の心理、生理に与える影響は小さくないと考えられる。そこで本研究は都市の景観としての居住地域の生活環境をにおいの側面から評価する「スメルスケープ」の概念の設立を目指す。

■におい環境評価手法の提案

 ・アンケート調査
  評価対象地域の住民に対して、記憶の中に存在するにおいについてアンケートを行う。
    調査項目:においの種類、発生場所、分布範囲
         においの好き嫌い、においの容認性
 ・パネル調査
  パネル(被験者)に評価対象地域を歩かせ、実際に存在するにおいを把握する。
    調査項目:においの種類、発生場所、分布範囲

■研究成果

2001年12月10日から12月14日にかけて、兵庫県の尼崎市、西宮市、芦屋市、神戸市東灘区の4地域にアンケートを配布した。集計結果よりにおいの種類を大まかに自然物、たべもの、廃棄物、その他(生活、薬品など)に分類することができた。以下に各分類ごとに4地域のにおい環境評価の一例を示す。

神戸 芦屋 西宮 尼崎
・自然物のにおい ・自然物のにおい ・自然物のにおい ・自然物のにおい
・たべもののにおい ・たべもののにおい ・たべもののにおい ・たべもののにおい
・廃棄物のにおい ・廃棄物のにおい ・廃棄物のにおい ・廃棄物のにおい
・その他のにおい ・その他のにおい ・その他のにおい ・その他のにおい